TOMOX NEW YORK

ニューヨークで生活する日本人アーティストの日々の徒然日記。 ニューヨーク情報もお送りします。

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きのうはパンダのタイシャンの記事でしたが、今日はDC旅行のもうひとつの大事な目的だった展覧会をご紹介します。
大きな研究機関であり合計16の博物館、美術館、国立動物園(パンダのタイシャンの住む動物園がここ)からなるスミソニアン協会(日本語のページはこちらをクリック)の中のひとつ、Arthur M. Sackler Galleryで5月14日まで行われている葛飾北斎展です。


この180点にも及ぶ大がかりな展覧会も、パンダの赤ちゃんタイシャンの事も、元を正せばoliveさんのブログ、oliveのSweetLife@ニューヨークで知りました。
oliveさん、素晴らしい情報ありがとうございました。感謝感謝です~。
(ここまでのところリンクだらけですね...(;^_^ A)


結論から言えばこれ、物凄く見応えがあって素晴らしい展覧会でした。
最初は一緒に行った友人も、私が見るのに時間がかかるかも知れないと言ったら

「ふうん、じゃあ退屈したら他の博物館でも巡ってるよ」

と言ってたにも関わらず、私以上に時間をかけて熱心に見てました。
最後には

「久しぶりにとっても良いものを見た。連れて来てくれてありがとうね」

と言われるくらい感激してたので本当に来て良かったですー。


もう入り口から最初の部屋に入るといきなり、展覧会のポスターや図録の表紙にもなってる有名な「雷神」、次の部屋には富嶽三十六景のThe Great Waveとして超有名な「神奈川沖浪裏」や「Boy Viewing Mount Fuji」(ごめんなさい、邦題が分からない...)などがあって惜しげもなくのっけから有名な名作目白押し!
ちょ、ちょっと待って!って感じでここで既にいっぱいいっぱいになってしまうくらいでした(笑)。


木版画の浮世絵はもちろんのこと、彼のペインティングやドローイングをこんなに大量に見られたのは初めてで、その繊細な美しさ且つ構図の大胆さを堪能させてもらいました。
特に古い西洋絵画では滅多に見られないさまざまな絵のサイズは日本人の私の目から見てもとても新鮮な驚きでした。
たくさんの木版画集も発行しており、出版もたくさんしてたんですね。
スケッチブックも残ってますが、大変に細密で彩色も施されていて、もうあれはスケッチじゃなくて立派に作品でした。
破れやしわ、シミのある作品もありましたが、全体的に作品のコンディションはよく、墨や日本画の染料の発色が美しいままの作品が多かったです。
(ただ細かいようですが、Great Waveの波の上に薄い墨の汚れがあったのが残念。それと、木版のベタ部分で木の年輪がハッキリ出てしまってる絵があったんですが、あれってとてもわざとだとは思えません。刷りの失敗作ではないかと思いましたがどうなんでしょう)
彼の描くポートレイトは、江戸という時代のせいもあるでしょうが、貴族やお侍さんだけでなく、市井の人々....それもブルーカラーの底辺にいると思われるような人達(漁師、大工、農民、篭かき、水売りなど)をたくさん生き生きと描いているのが印象的でした。
全体的に美しい日本のリリシズム(やはりこれは浮世絵。挿画の開祖とでも呼びたいような、百人一首の歌に絵をつけているシリーズなど)と共に、ユーモア溢れる作品もあり、川柳も書いていたらしき彼は人間味溢れるとても魅力的な人だったんじゃないかと想像します。


そしてその90年(江戸時代の人としては超長生きですよね)の人生全てを絵に情熱を注ぎ続けた彼の軌跡を追う形で、若い頃から90歳になるまでの作品を網羅した作品群を順に見ていると、彼の作品を見ているだけではなくて彼自身の人生が見えてくるのがとても感動的でした。
何度も画号を改号している彼は、「春朗」「卍」などとも名乗ったりしてますが、画号のサインのところに「画狂人」と書き込んでるものもあり、いつしかそれが「画狂老人」になってます。
そして、八十を過ぎた辺りから長生きな自分の年齢を書き込みたくなったのか、「齢八十四歳画狂老人卍筆」「八十八老人卍筆」などと書き込んでいました。
八十八歳の米寿を過ぎて、彼は「百」という朱判を絵に押すようになってますが、百まで生きて元気で絵を描くという意味だったんじゃないか...と感じました。
さすがに晩年は目も老いていた事でしょうし細密な木版はなく、ペインティングしか見られませんでしたが、筆致には衰えが見られず「画狂老人卍老人筆齢九十」というサインも何の震えもない美しい書体でした。
死ぬ直前まで丈夫な人だったんじゃないでしょうか。
何かひと筋に一途に打ち込んだ人の人生とはかくも清々しく人々に感銘を与えるものかと思いました。
実は彼の人生をちゃんと知らないんですけど、一体どんな人生だったのか大変興味が出てきましたです。
今度は是非、本で読んでみたいと思ってます。






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↑北斎展で驚いたこと......
女装した若い男の肖像画があった。
その若い男のパトロンの依頼で描いた肖像画だそうです。
美術館の中でつかの間江戸時代のゲイ文化に思いを馳せる
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コメント
おかえりなさい
北斎展うらやましいな~。私は今、来週末から始まる展示会にむけてラストスパート?で毎日仕事漬けです。私もどこかに行きたいな。北斎、私もそんなに詳しく知りませんがかなりユニークな人/人生だったようですよー。有名なのが「引越し魔」。掃除など一切せず、ゴミがたまって住みきれなくなったらお引越し、というのを娘(確か父と同じく浮世絵師、北斎のアシスタントだったはず)と共に一生繰り返していたようです。まさに流浪の画狂老人ですね。江戸時代の文化は大好きです。唸ってしまう格好良さですね。NHKの「お江戸でござる」毎回見てた~。性に関してもすごく奔放だったみたいですよ。当時の銭湯って男女混浴で、けっこう乱れていたらしいっす。。。(おかげで後に混浴は禁止)
2006/05/11(木) 05:43:35 | URL | miki6 #-[ 編集]
あっ、カードの展示会かな???
>miki6様
そーだ書店に出入りしてるカード会社の人から、イラストレーター知ってたら売り込みに来てもらって下さーい、って名刺もらって忘れてた!
名刺探してまたメールします......。

江戸文化、粋でいいですよねぇ。
関西もんなんで、憧れますねー。
お寿司にそばに日本酒の世界...(食いもんかい!)。
「お江戸でござる」は実家の家族のお気に入り番組です。
杉浦日向子さんあってこその番組だったんで、 残念ですね。
2006/05/11(木) 11:40:58 | URL | tomox #-[ 編集]
百日紅
杉浦さんの作品は大好きで、しばらくハマッテました。
北斎というと、もう彼女の「百日紅」の北斎でイメージができてしまいました。
今は文庫しかないのかな。実業の日本社から大きめの単行本が出てて持ってるので読んでなければ、今度東京に来たら見せてあげるよ。<tomoxちゃん。
つくづく彼女の早生は残念です。
2006/05/11(木) 19:29:03 | URL | atsu. #-[ 編集]
げっ、赤ペンします。
早生?いや、早世です(恥)

変換で、間違いを起しやすいっす。

「百日紅」は杉浦日向子の代表作であるだけではなく、日本漫画史上の大傑作と言っても過言じゃないので、是非オススメです。
2006/05/11(木) 22:17:13 | URL | atsu. #-[ 編集]
はい、チェックしますです
>atsu.様
自ら赤ペン、だうも。
「百日紅」いいよって他からも聞いてましたのでチェックしたいと思います。
北斎関連本はアマゾンでチェックしたら、画集・研究書・小説と多数あって選ぶのに困ってますー。

ところで、展覧会には春画が1枚もなかったす。
それがあってこそコンプリートだって思いますが、春画の展示は難しいんでそーか。
2006/05/12(金) 00:57:52 | URL | tomox #-[ 編集]
遅くてすみません;
昨日、ニュースだったかで、スミソニアンでの北斎展が大好評だったと言ってました。
日本人の表具師さん二人が、北斎の修復に、スミソニアンでひたすら励んでいらっしゃるのだそうです。30代くらいのお二人でした。
修復したところを抑えるのに、散弾銃の玉を使っているのだとか、ゼラチンを塗って修復するのだとか。
tomoxさんが見た、女装のではないと思いますが、若衆(たしか;)という絵で、最初は点々と染みが浮いていて、ばきばきにひびが入っていたのが、アイロンでもかけたようにきれいになって、しみも消えちゃってるんですよ。なんと、使ったのは水だけなのだそう。
その人たちの働きなしには、今回の展覧会はひらけなかったのだとか。
とにかく、興味深かったです~。
北斎展、日本でもやってくれないかな。
2006/05/18(木) 00:31:25 | URL | さいもん #rwGakU8g[ 編集]
若衆...それが女装の絵のタイトルかも......
>さいもん様
女装してる男性の絵のタイトル、確か「Young Man」だったんですよん。
タイトルと絵が合ってないのかと思ってマジマジ見て、説明を読んで納得。
でも説明には「女装してても髪型が男である」って書いてあったけど、私の目には女性の髪に見えたです。
それですかね?
シミひとつなかったような気がします。
表具師さんってスゴイ技術ですね。
2006/05/18(木) 07:49:40 | URL | tomox #-[ 編集]
う~ん、女装だったのかな?
左向きの立ち姿で、すらっとしたやさしげな横顔でした。
着物の色も、そんなに派手じゃなかったんで、女装って気がしなかったんですが、あんまり注目してなかったので、あやふや;
髪型・・・う~ん、さやかきじゃなくて前髪はちゃんとあったような。
あんまり男っぽくなかったんで、それかもしれませんね。
2006/05/18(木) 08:46:01 | URL | さいもん #rwGakU8g[ 編集]
あ、きっとそうです!
>さいもん様
そうですー、左向きで立ち姿でした。
前髪もちゃんとあって、鬢をふくらましてたような。
男髪には見えなかったです。
ていうか男には見えなかった(笑)。

ところで、名前変えたですか???
2006/05/18(木) 12:52:53 | URL | tomox #-[ 編集]
ありゃ;
ほんとですね、さいもんになってる;
ええと、こちらではずっとmeimeiだったので、meimeiにしておきます。
また間違えるかもしれないですけど^^;
一応、音楽関係はさいもんで、お絵かきサイトではmeimeiなんですが、ああう~、どっちかに統一したほうがいいかな;ややこしくてごめんなさい。
2006/05/18(木) 20:19:39 | URL | meimei(さいもん) #rwGakU8g[ 編集]
OKでーす
>meimei(さいもん)様
あ、間違いでしたか(笑)。
じゃあ2つ名前が出たところでご随意にお使い下さいという事で!
かく言う私もハンドルネームは3つありまする。
殆どバレバレのハンドルネームなので、容易に同一人物と分かるですが。
2006/05/19(金) 10:18:18 | URL | tomox #-[ 編集]
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